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唯ノ一ツ



 旅先で道に迷ってしまって、ひもじくてとうとう倒れ伏した。
 そんな僕をチョコレート色の肌をした老婦人が助けてくれて、僕には良く分からない食材のお世辞にも美味しいとは言えないような、でも暖かなスープを恵んでくれた。
 その村は寒村と言うに相応しく、食糧だって十分ではなさそうだった。
 ボロ小屋にたった一人で住む老婦人に、お礼の代わりに火に包まれたお星様を一つ差し上げて、翌日には旅立つことにしたのだけれど。
 その夜のこと、調理のためにお星様を一度使ったきり、僕の目の届かぬうちに、老婦人は空にお星様を返してしまった。曰く。
「こんなところに一つきりでは寂しいものね。」
 僕はそっと身を隠し、眠りに着いた。
 明くる日、僕は老婦人に何度もお礼を言って旅立った。見送ってくれた老婦人の目は、寂しそうだった。
 こんなところに一つきりでは寂しいものな。それだけ呟いて、僕は振り返らなかった。
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寂しいのかも

なんだか自分が老婦人になった気分でした。。。

チヨコレート色の老婦人=地黒の私が年老いた場合(^^;

老婦人の気持ちがわかる!ん~切ないな~。。

Re: 寂しいのかも

> きみどりめがね様

感想ありがとうございます。
老婦人も寂しいのだろうとは思いますが、男の立場からすると
やはり「僕」にその寂しさを埋めるのを願うのも酷なのだろう、とも思います。
その辺り寂しい目をするに留めた老婦人の優しさなども含ませたつもりではありますが。
物語ではあるのですし、何とかしても良かったのかもしれません。
その場合では読後に感傷を与えることは望むべくもありませんが。
プロフィール

調子

Author:調子
男。178cm、57kg。昭和六十年生まれ。
喫煙者、飲酒家、博打打ち。ろくでなし。
好きな風呂は檜風呂。
愛車は1985年製のSR500。
けれども俺はヒノキ花粉症。おのれひのきめ、いつの日か必ずや檜風呂にしてケツに敷いてくれる。そろそろここに書くネタがないや。
著作権は特に主張したりとかは、ないです、短いからかぶってそうなこともありそうだし、何よりそんな暇があれば、次のを書く。もちろん侵害する気もないのではからずも盗作になっていた場合には対処します。
拍手コメントの返信は土曜日に一括でやらせて頂きます。ご了承ください。

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