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月ガ住居



 ガラリ、僕の部屋の押し入れの開く音。
 慌てて振り向けば身なりのきちんとした紳士の居た。
 彼は僕に一礼をすると、玄関から僕の革靴を盗んでステッキを回しながらどこかに行ってしまった。
 夜空を見上げるとお月様のクレーターが一つなかった。
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オ揃イノ指輪



 彼より大分年上の、美人と評判の彼女が困ってた。
 古い約束の大事な思い出、玩具の指輪を無くしたから。
 それで彼は必死に探し回って、泥まみれ土まみれでやっと見つけた。
 何処にでもありそうな、安っぽい玩具の指輪。
 彼は彼女になにか小さなプライドみたいなものを、認められたくて。あと笑顔が見たくて彼女に指輪を渡したんだ。
 彼の幼い恋心にも気付かずに、彼女、ありがとうって。
 それで喜ぶ彼を見て、そんなもので喜ぶ彼を見て。
 小さな愚かな嫉妬と共に、彼の探してた場所に指輪を落としたことに間違いはなかったと微笑んだ。
 こんな落ちぶれた僕だけれど、さあて今から彼女の無くした指輪を探そうか。僕の無くした片割れの指輪を。

降リシキル涙



 僕の涙がプラスチックになってしまった。
 涙滴が全部硬質で。めったに泣くことはないけれど。たまには大泣きだってすることはあるし。
 それで今までの涙、全部貯めておいた部屋。すっかり涙で埋もれてしまったから。
 雲の奴に頼んで、雨の代わりに降らせてもらった。
 全部僕の身体にあたって、痛かったけれど。全部、僕が覚えた痛みだから、泣き出すこともなく耐えられたよ。

抱エタ物



 ボトルを大事そうに抱えてる砂で出来た星。
 中身はただの水道水なのに。
 僕は彼の眠っている隙に、中身を純米大吟醸に変えておいた。
 彼が目を覚ましたら、気付くだろうか。
 ボトルの中身の水は、とっくに腐っていたのに。

何ヲ救ウ



 皆のために犠牲になれってさ。
 それで僕は、悪党だったし。救済のためとか、そんな理由で磔刑に処されて。
 小高い丘の上、十字架の場所には誰も近付こうとはしなかったけれど。
 磔られた翌日に、僕の様子を見に行けば。
 十字架は折れていて、僕の死体もなく。引きずったような跡が地面に残っていて。
 きっと僕は今も生きて。今も生きて。

星ヲ流ス人



 多分遠い昔のことだと思うのだけれど、流れ星がこの星には落ちなくなってしまって。
 空が泣くことをやめたら、この星の人達が泣き始めたんだろうと思う。
 別にかなわなくても良いのに、少し素敵な願い事を、密やかに聞いてくれるものの無くなって。
 泣いていたんだろうと思う。
 それであの人はいつからか知らないけれど、空を飛んでさ。
 偽物だけれど、星を日に一つ二つそっと流しているらしい。
 偽物だけれど、偽物だけれど。きっと本物より価値あるものなのかもしれない。

父カラノ贈リ物



 今の僕より少しだけ年上の、彼が僕にくれた小さなお星様。キラキラしていて、少し暖かで。
 掌で包んだり、空に浮かべて眺めたり。
 きっと僕もこれをその内に渡す時が来るんだろう。

癖が無くなってました。



 土曜日は寝もせずに遊びに行ってしまって、まぁ、そんな訳で更新できなかったんですが。
 後の三日はタダのサボリです。すみません。
 この一ヵ月でパソコンを付ける習慣がどっかに行ってるみたいです。

 とまぁ、そんなわけでもしかしたら毎日更新ではなくなる可能性もありますが、ともかく頑張って行きたいとは思っておりますのでよろしくお願いします。
 今日も時間あったのにこんな時間まで更新してないものなぁ。

取リ替エ



 失踪するギターの高らかな音色を追いかけて、子供たちが走ってく。
 ギターの音のように虚空に掻き消えてしまわないとも限らないから、僕ら注意深くギターの音を聞いていたけど。
 ギターの音の掻き消える前に、子供たちが姿を消してしまって、慌てて探したのに、いつまでも止まないギターの音が残るばかり。

靄ノ中



 僕が群れの中に帰って行く時、お月様が僕の頭をお月様の色で染めてきた。
 それでどうにも人の群れの中に馴染めなくなってしまったから、荒涼な土地の夜空の下、焚き火をしながらその煙で憎きお月様を隠しているところ。

糧ヲ得ル



 お星様を食べてしまう、真っ黒な怪獣があるのだ。
 それが今日も現れて、とうとうオリオン座を食べてしまった。
 自らの恋人たるお話のあるオリオン座の消失を嘆き悲しんだお月様は、進んでその怪獣に食われに行った。
 お月様の無くなったのを嘆くばかりの僕たちは、青空にポッカリ開いた大きな口に、せめて毒にならんと悪事に手を染め出した次第。
 それで思う、怪獣を呪えども、安穏と人や星などに生まれたから殺しもせずに糧食を得られるのであって、自ら殺さねば食えぬ怪獣に一体誰が責められたのかと。
 ただ呪いたらんと両の掌を真っ赤に染めてからそんなことに気付いては泣き出して、もう全てが遅く星ごと僕ら食われた話。

綿ノ雨



 鼻の頭に綿菓子をつけたままの少年が、雲のやつらに仲間だと思われたのか、連れていかれてしまった。
 ある日、遠くの国から手紙が来て、雨の降らない国だから綿飴を送って欲しいと少年からだった。

廻ル空



 巡り来る星も、いつの間にか空から居なくなってしまうみたいに。
 僕らも時の流れの中に居なくなってしまって。
 でもいつか空に星の帰ってくるみたいに、また君と出会えると分かっているから。
 あの星を僕と定めて、星の巡りと共にまた会おうと、星の一つが語ったんだ。

密造シタ星



 睡眠不足の時の、日光の下に出た時の、目玉の奥の方がチカチカと痛み出した時には、もうすっかりまぶたを閉じて。
 閉じたままの目で何とか地下のまるで光の入らない、真っ暗な部屋に入ってからようやくそっと目を開くと。
 まぶたの間からチカチカとした光が零れ始めるから、そいつを瓶に詰めてはを何日か繰り返して。
 流れ星の欲しい新月の夜には、その瓶を持ち出して封を切れば、空に昇ってく流れ星となるのであります。

最良ノ不覚



 お月様が大変な剣幕で僕に金を返せと詰め寄ってきた。
 しかしながら借りた覚えもない。
「記憶違いじゃないだろうか、それにほらお月様、借りたとしてもただ今こそが使用中だ。」
 酒場の店主の手のひらに、僕の財布の中身が移ったときのこと。

弱イ星



 帰る家もあるくせに、風呂にも入らず汚れたままの姿で、悪臭を垂れ流す人が居て、周囲の人々は皆もちろん彼を避けて往来が二つに割れていた。
 僕は他人の迷惑も考えないなんてと頭に来て、そこいらの消火栓を使って強烈な水で彼を洗い流して、それから石鹸でもって野良の犬猫を洗うときの乱雑な手つきでゴシゴシやって髪を整え、髭を剃ってやった。
 彼が生きることの楽しみを諦めているのは分かったから、僕は星々に頼んで綺麗な身なりの彼を仲間に入れるよう頼み込んだ。
 それで空から彼を誘う手に連れられて彼は星になったのだけれど、あの野郎、せっかく僕が綺麗にしてやったのに小さくしか輝いていないから、僕はやっぱり腹が立って今度は一体どうしてくれようかと服だのを取り揃えた次第。
プロフィール

調子

Author:調子
男。178cm、57kg。昭和六十年生まれ。
喫煙者、飲酒家、博打打ち。ろくでなし。
好きな風呂は檜風呂。
愛車は1985年製のSR500。
けれども俺はヒノキ花粉症。おのれひのきめ、いつの日か必ずや檜風呂にしてケツに敷いてくれる。そろそろここに書くネタがないや。
著作権は特に主張したりとかは、ないです、短いからかぶってそうなこともありそうだし、何よりそんな暇があれば、次のを書く。もちろん侵害する気もないのではからずも盗作になっていた場合には対処します。
拍手コメントの返信は土曜日に一括でやらせて頂きます。ご了承ください。

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