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星空ハ来ナイ



 日が落ちたので、空に暗幕を引いていった。
 ところが大変にしまったことに、新品の暗幕で、星空になりやしない。今日は新月だというのに!
 大急ぎでパンチャーで一つ一つ穴を開けていく僕を、神様がはやし立ててきた。
 やれ星座が曲がっているだの、星の色が違うだの。
 最初のうちは腹が立つに収まったけれど、あまりにしつこく囃し立てるので、段々頭に来て、神様連中を暗幕で包んでふん縛って捨ててやった。
 穴が開いてるから呼吸は出来るだろう。不貞腐れて青空の下、眠る次第である。
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心ノ模様



「私は心をいくつも持ってるから、気分によってその日の心を変えるのよ。」
 彼女が言う。
「当たり前じゃあないか。僕だって気分の良い日は酒を飲むし、気分の悪い日は盗みを働くぐらいの分別はある。」
 僕の言葉には頷いてはもらえなかった。

月光ト花



 日向に咲く花も、たまには月明かりを楽しみたいんだろう。僕はそう思う。
 お月様にお願いして一際明るくしてもらったら、可憐な花がつつしまやかにそっと咲いた。

空席ノ玉座



 まだオムツも取れていない小さな神様の誕生日に、同い年のお星様を一粒か二粒か贈っておいた。
 それでどうなったかと言えば、その小さな神様は未だオムツも取れていないのに星の神様になってしまった。
 いやはやお星様が盗みづらくなったものである。

自由ノ味



 猫を捕まえてきて、皆で囲んだ鍋の近くに置いておく。
 具沢山に盛り込んだ鍋がグツグツ煮え始めると、猫が食われるものと思って叫び出した。
 僕らがニヤニヤ笑いをやめないからとうとう猫が涙をこぼした。
 その涙をお猪口に集めて呷る。猫の涙こそが最高の食中酒なのである。

蕩ケル冷酒



 人魂を見つけたので、もちろん捕まえようとした。
 中々うまくはいかないもので、手で触れる分にはどうにかやってやれないことはないけれど。
 鞄に入れたり、瓶に詰めたり、鎖で縛ったりがどうにもうまくいかない。
 おそらく鞄だのの類いが生き物ではないのがいけないのだろう。だから仕方ない発酵途中のお酒の中に人魂を入れた。
 これが見事に大成功、確かに人魂を手に入れられたのだけれども、目的地に着いた頃には人魂がほとんど溶けていて、これでは飲むより他がない。

暢気ナ終末



 神様が博打に負けて、空も海も雲も花も星も月も取られてしまった。
 僕らはそんな、仕方ない神様に次があるさと肩を叩きながら酒を飲んでいる。

身包ミ剥ガサレ



 季節の変わり目には僕だって脱皮する。
 そんな僕の脱け殻を、少年達が拾って集めていく。
 何するものぞと思ったのだけれども、放っておいた。
 数日後、子供達が手に手に棒を携えやって来て、金を返せと言う。
 僕の脱け殻を財布に入れたら、金を盗まれたのだそうだ。
 気の毒になって、彼らの金で買った酒をやったがこれでは済まないと言う。
 どうすれば良いかと聞いてみたところ、皮を寄越せと言うので渋々脱皮前の皮を差し上げた。
 本格的に春が来れば良いのにと口を尖らせている僕である。

顔料ノ抽出



 その日は夜になっても、夜が更けても青空のままで。
 お月様やお星様は戸惑っているようだけれど、なんにもできずにただただ浮いていた。
 そこへポリバケツを抱えた人がやって来て、空を絞り出した。
 すると空から青が滴り落ちて、ポリバケツが満タンになる頃にはすっかり夜空の装いだった。
 数日後にその人を見かけた、空の青なる顔料を売っていた。年老いた鳥がそれを買っていた。

保護ヲ獲得



 目に鮮やかな花を植えている人に頼まれて、花をいじめる小虫を退治する仕事をしていた。
 余りに彩りが目に突き刺さるもので。
「おのれ、この目に優しい緑色の虫どもめ。」
 と悪態をついたところ、虫達が突然に色を変えたものだから、一体虫がどこにいるのかもとんと分からず、仕事を放り出してひなたぼっこしながら青空と雲を見ていた。

新タナル星



 シャボン液にガムシロップと流れ星の死骸を入れて、息を吹き込んだらば。
 正午の日の光を浴びたシャボン玉が、星のように輝くのだ。

隠レ煙草



 その日、余りにも綺麗だったから、お月様を隠し撮りした。
 丁寧に現像したそれを眺めては、煙草の煙をやるのがとても好きだったのだけれども。
 僕の寝てる間にカーテンの隙間から忍び込んだ月明かりが、僕の顔と僕の写真を照らしたことでとうとうお月様にばれてしまった。
 怒ったお月様は写真をビリビリに破くと、鼻息を一つ鳴らせて帰っていってしまった。
 涙にくれる僕の部屋に僕の友人が、なにも言わぬままに入ってきて破れた写真を吸殻から取り出した葉っぱと一緒に紙に巻いて、シケモクを拵えていた。

忘我ノ人



 ハッとして胸ポケットの中をさばくった。家を出るときには確かにこの中に僕を入れたのに、いつの間にやら僕がない。
 お日様に聞けども知らぬと言う、お月様に訪ねども分からぬと言う、お星様達にお願いしても駄目だと言う。
 体も心も確かにここにあるのだけれども、僕だけがいずこかに消えてしまってどうにも落ち着きが悪い。
 代わりに神様でも胸ポケットに入れとこうか。

数多ノ月



 鉢にお月様を幾つか植えて、育ちの良いもの以外を間引く。
 綺麗な赤いお月様が生ったので空にあげた。
 赤いお月様が出ていた。
 間引いて余った小さな小さな数多くのお月様をその内に空へあげるだろう。

星ガ落チズ



 北の空に流れ星を見た、願い事ができなかった。
 僕はホウキ星を捕まえたので、今度流れ星の流れるときには、僕がきちんと願い事できているか確認して流れ終わるようにと頼んでおいた。
 一ヶ月の後、それまで夜空を見上げていなかったけれど、久しぶりに見た星空は幾条もの光の線が入っていた。

群レニ戻ル



 神様を森でたくさん捕まえて、その内の何匹かをポケットに入れて自宅に戻る途上のこと。
 お日様が腕を組んで僕を通せんぼしている。
「あの森の中で何をやってた?」
 お日様に聞かれたが、答える義理もないので。
「別に、何も。」
 とだけいって脇をすり抜けようとしたのだけれど、お日様の奴、僕の胸ぐらを掴みあげると迫ってきた。僕はお日様の足を蹴り飛ばすと、お日様と二人もみ合うように転がり込んだ。
「俺に話せないようなことをするな!」
「君はただ光ってる分にはいじらしいのに、ずいぶんと横柄だな!」
 転がりながら殴り合ううちに、うまく僕がお日様に馬乗りとなったので、横っ面に拳を何度か入れて。
 気を失いそうに力なく開いたお日様の口に、ポケットから取り出した神様を突っ込んで、僕の勝ちだとニヤリ笑ってとうとう帰宅した。
 くたくたな僕は上着を脱いだだけで眠ってしまったけれど、朝方とんでもない音がした。
 上着のポケットと東の壁に大きな穴が空いていて、神様が一匹も居なかったのである。
 そろそろ日の出の時刻だろう。
プロフィール

調子

Author:調子
男。178cm、57kg。昭和六十年生まれ。
喫煙者、飲酒家、博打打ち。ろくでなし。
好きな風呂は檜風呂。
愛車は1985年製のSR500。
けれども俺はヒノキ花粉症。おのれひのきめ、いつの日か必ずや檜風呂にしてケツに敷いてくれる。そろそろここに書くネタがないや。
著作権は特に主張したりとかは、ないです、短いからかぶってそうなこともありそうだし、何よりそんな暇があれば、次のを書く。もちろん侵害する気もないのではからずも盗作になっていた場合には対処します。
拍手コメントの返信は土曜日に一括でやらせて頂きます。ご了承ください。

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